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生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因となる疾患の総称で、高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などが含まれます。症状がなく進行が進むため、自覚症状が現れるまでには時間がかかり、早期発見が難しい疾患です。心臓病や脳卒中は命にかかわる危険性が高く、生活習慣の改善が予防の鍵となります。
特に高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症には注意が必要で、喫煙、飲酒、食習慣、運動不足、疲労、孤立・孤独が関連しています。健康診断で早期発見が可能なため、定期的に受けることが大切です。

高血圧

高血圧高血圧は、基準よりも血圧が高い状態が持続する病気で、症状が少なく進行が徐々に進む特徴があります。長期間にわたり高い血圧が続くと、血管に負担がかかり動脈硬化を引き起こし、心臓にも負担がかかり心不全などの心疾患、また脳卒中などを急に引き起こす危険性があります。頭痛や肩こり、耳鳴りなどの自覚症状がまれに見られることもありますが、これらの症状はすでに心疾患や脳疾患の合併症が発生している可能性もあり、注意が必要です。高血圧は沈黙の殺手とも呼ばれ、早期の検査と適切な管理が重要です。

基準値

診察室血圧:<130/80mmHg、家庭血圧:<125/75mmHg

  • 75歳未満の成人
  • 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
  • 冠動脈疾患患者
  • CKD患者(尿蛋白陽性)
  • 糖尿病患者
  • 抗血栓薬服用中

診察室血圧:<140/90mmHg、家庭血圧:<135/85mmHg

  • 75歳以上の高齢者
  • 脳血管障害患者(両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)
  • CKD患者(尿蛋白陰性)

日本高血圧学会のガイドラインによれば、高血圧治療の開始基準は血圧の変動に影響を受けるため、診察時血圧と自宅で測定した家庭血圧で異なります。家庭ではリラックスして低くなり、病院では緊張して高くなる傾向があるため、実際の治療判断には両方の数値を考慮する必要があります。これにより、より正確な高血圧の評価と治療が可能となります。

高血圧の治療

血圧の計測

自宅での血圧変化が重要で、手軽に入手できる自宅用の血圧計を利用することが推奨されます。毎日同じ時間・場所で測定することで、微妙な変化にも気付きやすくなります。血圧をコントロールして高血圧を予防することで動脈硬化の危険性を軽減できます。食事の見直しや運動不足の解消も重要で、塩分摂取には特に注意が必要です。定期的な血圧計測と生活習慣の改善により、健康な血圧を維持することができます。

生活習慣の改善

生活習慣の改善は血圧管理に有益です。塩分制限、肥満解消、適正体重維持、有酸素運動習慣、飲酒制限、禁煙などを取り入れましょう。十分な睡眠や休息、ストレス解消も重要です。無理のない範囲で取り組み、日常生活に組み込むことが大切です。既存の疾患治療中は医師の指導を得て制限を調整します。モチベーションを維持するために、運動や体重、血圧の記録を活用し、日々の進捗を確認しましょう。

降圧剤

生活習慣改善が効果的でない場合、高血圧の治療には降圧剤が使われます。これらの薬は血圧を下げ、心臓や血管への負担を軽減します。ただし、降圧剤だけでなく生活習慣の改善も欠かせず、医師の指示に従って取り組むことが重要です。現在の降圧剤には様々な種類があり、身体状態や生活様式に応じて選択され処方されています。治療の成功には医師との協力が欠かせません。

脂質異常症

脂質異常症脂質異常症は血液中の脂質が基準を超え、血管内に蓄積して動脈硬化を進行させる生活習慣病です。この異常な脂質蓄積が進むと、プラークが形成され動脈が狭窄し、血栓が発生して脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。自覚症状がなく、健康診断での血液検査で発見されることが一般的です。LDLコレステロールや中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが不足している場合に注意が必要で、食事改善の効果がない場合は薬による治療が行われます。異常な脂質値は長期にわたり進行するため、定期的な健康診断が重要です。
高LDLコレステロール血症……LDLコレステロール140mg/dL以上
境界域高LDLコレステロール血症……LDLコレステロール120~139mg/dL
低HDLコレステロール血症……HDLコレステロール40mg/dL未満
高トリグリセライド血症……トリグリセライド150mg/dL以上 (空腹時採血)、175mg/dL以上 (随時採血)
高non-HDLコレステロール血症……Non-HDLコレステロール170mg/dL以上
境界域高non-HDLコレステロール血症……Non-HDLコレステロール170mg/dL以上

脂質異常症の原因と改善方法

LDLコレステロールが高い主な原因は飽和脂肪酸の摂取過多で、肉や脂身、加工食品に多く含まれます。対照的に、植物油などの液体の油脂や魚油は不飽和脂肪酸が多い傾向があります。LDLコレステロールが高い人は飽和脂肪酸とコレステロールの過剰摂取に注意が必要です。トリグリセライドの上昇はエネルギー過剰摂取が主な原因で、砂糖やアルコール、揚げ物、糖質の過剰摂取が影響します。
中性脂肪を下げるためには青魚の摂取が有益です。HDLコレステロールが低い原因は中性脂肪の増加で、肥満、喫煙、運動不足が関連しています。運動や減量、禁煙はHDLコレステロールの向上に寄与しますが、飲酒によるHDL上昇は高血圧や肝障害のリスクがあるため推奨できません。

検査

頚動脈エコー超音波検査は、首の頚動脈部を超音波で測定し、動脈硬化や狭窄の評価を行います。超音波機器を首の頚動脈に当て、血管の状態や血液の流れを測定します。検査は非常に迅速で、約10分ほどで終了します。この検査は放射線を使用せず、被曝の心配がないため、安心して受けることができます。頚動脈エコー超音波検査は早期の異常を検出し、脳梗塞のリスクを評価するのに役立ちます。

頚動脈MRI検査

頚動脈MRI検査(MRI_ECHELON-Smart-Plus)は、頚動脈の状態を詳細に調査するための検査で、動脈の狭窄や頚動脈のプラークの状態を確認します。当院のMRI検査では体動補正機能(RADAR)を使用しており、これにより高精度での検査が可能です。頚動脈プラークイメージング検査では、RADAR補正を利用して、動脈硬化などが原因で生じる頚動脈のプラークの状態を測定できます。頚部MRI検査は非侵襲的かつ高精度であり、血管の異常を早期に発見するのに役立ちます。

治療

脂質異常症が診断された場合、まずは食事や運動といった生活習慣の改善が推奨されます。しかし、これらの改善が効果的でない場合は薬での治療の検討が必要です。薬の治療を行っていても食生活には引き続き気を配る必要があります。適度な運動や禁煙も健康な脂質バランスを維持する上で重要な要素です。総合的なアプローチにより、患者の脂質異常を適切に管理し、心血管リスクを低減することが期待できます。

糖尿病

糖尿病糖尿病は血液中の糖(ブドウ糖)の濃度が持続的に高い状態が特徴的な疾患です。ブドウ糖は全身の臓器や筋肉、細胞のエネルギー源として必要不可欠で、通常は一定の範囲で血液中にコントロールされています。食事から摂取された糖質はブドウ糖として血液中に入り、その濃度の上昇に対応してインスリンが分泌され、血糖値が一定範囲に維持されます。糖尿病ではインスリンの分泌が不足し、その働きが不十分になり、血糖の異常が生じるのです。
高血糖が長期間続くと血液が粘りっぽくなり、血管に負担をかけて動脈硬化を進行させます。同時に、毛細血管にも損傷を与え、組織への酸素や栄養供給が悪くなります。
糖尿病の進行は内臓障害や深刻な合併症を引き起こす可能性があり、腎不全や壊死した足の指などが現れることもあります。

糖尿病の種類

糖尿病には1型と2型の2つの主要なタイプがあります。1型糖尿病はインスリンがほとんど分泌されなくなる状態であり、通常は自己免疫の結果として発症します。一方で、2型糖尿病はインスリンの働きが不十分になったり、分泌が不足することで引き起こされます。2型糖尿病は肥満や運動不足などの生活習慣が原因となりやすく、日本では成人の糖尿病の約95%が2型糖尿病とされています。
遺伝的な要因も関与しており、遺伝的な傾向と環境の影響が複雑に絡み合って発症することがあります。1型と2型では治療やアプローチが異なるため、正確な診断が重要です。

治療

糖尿病は完治が難しい疾患で、治療の主旨は症状の緩和と合併症の予防にあります。1型糖尿病ではインスリンの補充が必要で、自己注射を行います。2型糖尿病では生活習慣の改善や薬物療法を組み合わせ、血糖値を管理します。治療により高血糖の状態を改善させることで、動脈硬化や腎不全などの深刻な合併症のリスクを低減できます。生活習慣や食事の見直しといった継続的な自己管理が重要です。

動脈硬化

動脈硬化は血管の壁が硬くなり、弾力性が失われる病態を指します。この状態では、血管内腔に脂肪やコレステロールが固まってできたプラークが形成され、これが拡大すると血管が狭くなります。大きくなると血管が詰まり、血栓ができて血管がさらに狭くなります。
血管の狭窄により血液の流れが悪くなり、血圧が上昇し、内臓への酸素や栄養供給が減少します。これにより心臓や脳への負担が増し、様々な合併症が引き起こされます。動脈硬化が進行すると心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの病気が発生するリスクが高まるため、適切な管理と生活習慣の改善が必要です。